サイボーグヒロイン降臨、小畑健大場つぐみ「バクマン。」。

バクマン。全部立ち読みで手元には一切ないんだけど。ちょっと最後まで読み続ける価値がある気がしてきた。
まあ、現代っ子な「まんが道」、てかマンガ家のなり方徹底分析なメインストーリーも面白そうではあるんだが、それより「このマンガ凄くなるんじゃない?」と思うポイントがありまして。
ヒロインの亜豆の描かれ方です。これ見てると、「少年マンガにおけるヒロイン像」まで徹底解体して再構築してんじゃないかなと思うのです。第2話だっけ?読んだときも思ったんですよね。秀才のシュージンが「俺より頭いいかもと思うのはサイコーと亜豆」というんですが、亜豆はなんで頭いいか?という理由が「先天的にどうやったら女の子として好かれるのかを心得てる、だから勉強はそこそこで女の子らしい夢を追って、という自分を無意識に作っている」みたいなことなんですね(ま、その理論でいうと、それに引っかかってるサイコーは馬鹿なんじゃないの?とも突っ込めるんですが)。おおお、それ、少年誌で言うんだー!!!とかなりびっくりしました。そういうクラスのヒロインの裏の仕掛けをばらしちゃっていいのか?この時点で亜豆は無自覚とはいえ「女」として生きる術に長けた要領のよい腹黒女だって言っちゃってるよ。「『クラス1頭良い女子』は頭良いことを鼻にかけてて馬鹿」とシュージンは言いますが、まだそっちの方が人間味あって安心できるよ。まあ、馬鹿なんだろうけど。
そしてサイコーのおじさんのずっと好きだった人が亜豆の母親だという話もすごい。社長秘書になった彼女はずっと文通してたおじさんの気持ちも知りながらさっさと社長と結婚してるんだからなあ。で、おじさんは過労死だし。母親は豪邸で縦ロールの髪型できゃぴっとしておじさんのこといい思い出風に語ってるし。Coccoだったらここで「強く儚い者たち」歌っちゃうよ。
そして今回の亜豆は、「好きな人いるんでしょ、教えなよ」という友達に「いないもん!」とかぶりっと言っちゃって、「もん」に友達が引いたのを察した瞬間「わたしはあなたより男の子が好きなんです、でも恥ずかしくて顔が赤くなるから喋れないんです、わかりますか?」とまさかの女友達へのスキンシップ込みの本音暴露と見せかけての媚売り。すごいね亜豆。女相手にも手を抜かないね。いっそ尊敬するね。さりげにクラス1頭の良い女子のこと「お高い」とか言っちゃってるしね。で、聞き咎められたら「ん?別に悪口のつもりじゃないよ?美人だし成績も良いから高嶺の花っていう意味で言ったんだよ?」とかいうタイプだよね。怖い怖い。
少年マンガでここまで猛禽解体新書をしちゃっていいんだろうか。これは相当「女」への悪意に満ちている気がしますよ。大した観察力ですよ。これ、意図的にやってるんだったら、一体どういう狙いなんだろう?「マンガ」を理論的に解明するには、類型的なキャラクターも解体しなくちゃ、てことなんでしょうか?だとしたら結構凄い試みな気がする。そしてこんなに「女」な部分を見せちゃってるヒロイン人気出るのかなあ?解体されたヒロインはヒロイン足りえるのでしょうか?
でも結局亜豆はモテるんだろなあ。江古田ちゃーーん!!