「考えるな、感じろ」の精神は大切、ダリ展。

慣れないヒールで足がもげそうになりながら見てたので100%で対峙出来ておりませんが。
この人の作品ってファインアートと呼ばれるようなものから商業的デザインまで幅広いので一概になんとも言えないのですが、「発想と知性で絵を描く人」という印象を受けます。「心より頭」って言いますか(あまりいい意味に受け取られなさそうな言葉ですが)。まあ心で感じたから発想が出てきているんでしょうが、卓越したテクニックのせいか、それともそのパフォーマンスのせいか、こちらも絵を「感じる」んじゃなくて「考える」という立場で向き合ってしまう。
しかし今日、横で見てたカップルの男の子が「なんか果てしなくて寂しい絵やな」と言ってるのを聞いて、頭ではなく心で見た方が良いんではないかと考え直しました。スカトロだって偏執的な愛情だって派手なパフォーマンスだって、露悪趣味じゃなくて心からの欲求なんだと、で、その欲求の発するところで絵を描いているのだという見方をした方がいろいろ感じられるんではないかと。しかし足が痛すぎてあまり感じる余裕を持てなかった自分にがっかりです。
絵で一番興味深かったのは、ダリタッチを確立する前の初期の絵ですかね。どの画家さんにも言えることですが、自分のスタイルを模索している期間の絵から感じられる必死さには胸打たれます。あとは万博のパビリオン。あれ再現していただきたい。今見ると「いかにも…」てな感じもなきにしもあらずですが、当時は本当に画期的だったんだろう。そして奇抜なものに飛びつくマスコミやらコマーシャリズムやらのうねりの中でダリが時代の寵児となったのかな。そういう時代性なんかもちょっと勉強してみたくなりました。